コレクション「新潟県村上市の調味料」について

コレクション「新潟県村上市の調味料」について

当店の商品コレクションの中に「新潟県村上市の調味料」というのがあります。

 店を出すにあたり、サラリーマン時代に交流のあった経営者の方、またはメーカーの営業担当者の方などの伝手を頼って商品を揃えていきましたが、味噌、醤油についてはどのように仕入れるか迷いましたし、またこの小さな店を相手にしてくれるだろうかという心配もあってしばらく手が止まってしまいました。

そこで思い立ったのが、自分のルーツに戻ってみることでした。私の両親はどちらも新潟県出身です。父は村上市の兼業農家(公務員と農業)、母は新発田市の専業農家の出身です。

私は子供の頃は夏休みに両親の実家で過ごすこともあったのですが、周囲1km程度の行動半径しかなかったので、結局どのような町なのかも知らないままでいました。

村上には何があるんだろう?子供心の印象としては鮭と海の魚のことしか覚えていません。

しかし、村上には味噌、醤油、塩があるではありませんか。しかも原料が地元村上産!え、塩もあるの?

私が勤めていた会社は業界の順位的にはそこそこ上位ではありましたが、規模的には中堅あるいは中小に分類される規模の会社でした。それでも原料は輸入がメイン、国産原料使用といっても地元の収穫量では補えず、全国から集めています。しかも天候不順による不作のときは原料絶対量が足りない、ということも何度か経験しました。

それが広いとはいえ、ひとつの市の中で採れた原料だけで商品が成立しているのです。

これは規模拡大を追う企業にはできない選択です。しかし、一方で規模を追いかけなければこのように地元の繋がりの中でものをつくり、再生産可能な数を地元で販売して活動を継続していくというのは、これからの時代の生き方ではないかと思い至りました。地産地消とはきっと本来そういうことなんですね。

私の店は東京に拠点があります。東京は自治体としての食料自給率は0.5%らしいですね。そんな消費に特化した街で、このような商品を販売することには自己矛盾を感じないではないですが、製造数が足りているのであれば、私の店が応援消費してくれる方々の窓口になり、それがこれらの商品を持続させる力の一部になれればと思って紹介しています。

地球規模の食糧不足を大パワーで解決しようと思うと、食品はどんどん大企業・国際的企業に独占されていきます。そうではなくエリアを細かく区切り、各地がベーシックな自給力を高めていく。そして特産品は文化交流として交換していく。東京については各地の自給力の余剰でとりあえずは支え、長期的には東京なりの自給バランスをデザインをしていくような挑戦がされていくと良いと思います。

幸い、現在取り扱わせていただいている3社については自社で直販や通販をされており、小口の注文にも快く応じていただけるので商品を供給していただくことができました。

これからも村上産の商品を当店のメインとしていきたいので、どうぞよろしくお願いします。

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