
遺伝子組み換えのここがイヤ
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前回は遺伝子組み換え作物が広く流通し始めて二十数年、今どうなっているのかという話をしました。
・遺伝子組み換え作物はは1990年代後半から盛んに作られるようになり、その目的は農業の生産性向上だった
・日本に農作物を輸出してくれるほど農業が盛んな国は遺伝子組み換え作物の割合は高くなっている
・主な作物としてはトウモロコシ、大豆、ナタネ、ワタ、ジャガイモなど
・加工品の原料として使われる場合、表示義務のないものがとても多い
主にそんな話をしました。
で、そんな遺伝子組み換え作物について私がイヤだなと思っていることをお話しします。
まず気になるのは安全性だと思いますが、今、栽培されている遺伝子組み換え作物が明確に危険であるとされていません。
遺伝子組み換えされた食品を食べたから亡くなった、病気になった、変な遺伝子が入り込んで怪物になったなどという例はおそらくありません。また、すでに20年以上にわたって世界の多くの人が遺伝子組み換え作物が使用された食品を食べ続けているということも安全性の証明になりつつあります。
たとえ今後、やはり健康に影響があるという説が出てきてもおそらく他の食品添加物や放射能や大気汚染などと同じく、数十年単位で統計として優位性が確認できるかどうかだと思うからです。
なので今は安全性とは関係ないところでお話します。
1.農薬とセットになっている
除草剤耐性を持たせた種を除草剤とセットで売る。遺伝子組み換え作物の開発に熱心な企業は同時に大手の農薬メーカーで、その企業が遺伝組み換えしたタネを売っているという構造になっています。つまりいくつかの国際的大企業が遺伝子組み換えによるタネの独占を目指しているということです。
2.自生する
遺伝子組み換え品種であることを認識して栽培される農地だけでなく、意図せずに環境中にばら撒かれた遺伝子組み換え種が自生する事がある。遺伝子組み換え作物が栽培されていないことになっている日本でも、ナタネが荷揚げされる港湾近辺の路上では積荷からこぼれた遺伝子組み換えナタネが自生しているのが観察されている。これは環境汚染です。
3.交雑する
遺伝子組み換え種は近隣で栽培されている近縁種と交雑する。それによって遺伝子組み換え種とのハイブリッドが起こる。これを遺伝子汚染と言う。生産者が独自でタネを採ることを防ぐためにターミネーター遺伝子を組み込むなどの対策をしたものもあるようだが、そのこと自体への批判も多く、現時点でターミネーター遺伝子を組み込んだ種は流通していないようです。
4.遺伝子汚染と権利侵害
日本の改正種子法では種苗会社の権利を守り、自家採取を制限する内容を含んでいます。一方で有機JASでは有機種子の使用を推奨しています。有機種子の多くは在来種、固定種で自家採取できるものです。オーガニックであるならば農家が有機栽培した作物からタネを取り、固定化された種を無農薬、無化学肥料で続けていくべきもののはず。
特殊な例ではありますが、自生・交雑する遺伝子組み換え品種で周囲の農地を遺伝子汚染しておいて、自社の種が生えているのを見つけては権利侵害だと言って種苗会社が逆ギレのような訴訟を起こした例もあります。その場合は汚染された農家がその品種をあえて種取りして翌年以降に栽培していたからだという話なのでどっちもどっちですが。
5.農作物、食べ物の寡占化は気持ち悪い
今日の結論ですが、遺伝子組み換え技術というのは世界的な大企業の技術であり、そういった企業が市場を独占しようとするのは仕方ないことです。でも食べ物については地域性やそれぞれの伝統や、さらに個人の好みで選べる余地がなくなっていくのは気持ち悪いことだと思っています。なので、大企業によるタネの独占につながる遺伝子組み換え作物の拡大については賛成できないというのが私の考えです。
とはいえ、すでに30年近い実績を作ってしまった遺伝子組み換え作物を避けてどうやって食べていけば良いのか?次回はそんなことを考えたいと思います。
YouTubeへのリンク→ https://youtu.be/uboO5b6WCmw